〜安全・安心な手術を支えるために〜
インプラント治療は外科的手技を伴うため、歯科衛生士の正確かつ迅速な対応が求められます。
オペの成功は、術前準備から術後のフォローまで、衛生士のサポートによって大きく左右されます。
今回は、インプラントオペ前後に押さえておきたい衛生士業務をチェックリスト形式でまとめました。
目次
1. オペ前の準備チェックリスト
□ 器具・機材の準備
- インプラント用外科器具一式(トルクレンチ、ドリル、バーハンドピースなど)の滅菌・セット
- サクション、照明、手元ライトの動作確認
- 生理食塩水、滅菌水、滅菌ガーゼ、吸収性縫合糸の準備
□ インプラントシステムの確認
- メーカー・サイズ・ロット番号の照合
- プランニングシートやサージカルガイドの用意
□ 術野・チェアサイドのセッティング
- 滅菌ドレープ、バリアフィルムの設置
- バキュームチップ・3wayシリンジ先端の滅菌交換
- 滅菌グローブ、滅菌ガウンの着脱補助
□ 患者対応
- 体調・服薬確認(血圧測定、既往歴・抗血小板薬の有無)
- オペ手順や所要時間の簡単な説明、緊張緩和の声かけ
- 口腔内の簡易清掃(歯垢・舌苔の除去)
2. オペ中のアシストチェックリスト
□ 術野の明視確保
- バキュームワークで出血や水分を素早く除去
- 器具受け渡し時は動線を最短化し、タイムロスを防ぐ
□ 滅菌管理
- 器具落下・コンタミ防止のためのトレー管理
- 使い終えた器具は清潔ゾーンから外してまとめる
□ 外科器具のスムーズな交換
- ドリルサイズやトルク値の変更を事前把握し準備
- 余分な待機時間を作らないアシストワーク
3. オペ後の対応チェックリスト
□ 器具・機材の後片付け
- 使用済み器具を専用容器に回収し、滅菌工程へ
- ハンドピースやライトハンドルの消毒
- チェア・周辺機器の清拭消毒
□ 患者への術後説明サポート
- 歯科医師が説明した内容を補足(出血時の対処、食事制限、服薬方法など)
- 冷却パックの使用指導、鎮痛薬の服用タイミング案内
□ 次回来院の準備
- 次回予約の確認・カルテ記録
- 術後経過観察用の写真やレントゲンデータ整理
4. インプラントオペにおける衛生士の心構え
- 予測力を持つ:次に必要になる器具や動作を先回りして準備する
- 清潔域の徹底:滅菌・非滅菌エリアを明確に区分
- コミュニケーション重視:患者の不安軽減と術者との意思疎通が鍵
- 記録の正確性:ロット番号や使用材料の記録は必須(トレーサビリティの確保)
まとめ
インプラントオペは、外科的精度とチームワークが試される治療です。
歯科衛生士が事前準備から術後フォローまで抜かりなく対応することで、患者の安全性・満足度・治療成功率が向上します。
ぜひ、このチェックリストを日々の臨床現場で活用してみてください。